2015年11月22日日曜日

聖と性のイコン (エリック・ギル)

高額な古書を求めるため、ネットオークションに血道を上げていた14年ほど前。
何度か洋書を買い求めた出品者から、1冊の本がおまけで付いてきた。
「Troilus and Cressida  A Love Poem in Five Books」。
1932年ニューヨークでの発刊、B5版で300ページ超の本である。

その本が印象的だったのは、本文の全ページに、
木版のカットが施されていたことだ。
洗練された様式美。ユーモラスで官能的だ。

「Troilus and Cressida」

(同上)

 描いたのは、エリック・ギル(Eric Gill)。
彫刻家、版画家、書体デザイナーでもある英国人で、
アーツ・アンド・クラフト運動に参加したという。

彼の木版画を調べると、どこか魅力的なものが多い。
図録を2冊購入した。

聖画像(イコン)として描かれたものは、
明確な線としっかりとした構図で、力強さを感じる。
ただ、人物の表情や執拗に描かれた波線などに
異様な印象も受ける。

Nativity (1927)

The Crucifixion (1926)

Ascension (1918)


一方、挿絵やデザイン画は、より自由奔放な線で描かれており、
ディティールの描き込みや、ユーモラスな味わいを愉しめる。

The fall of Wolsey (1937)

The Crucifixion (1931)


そして、女性(女体)を描いたものは、流れるような線で起伏を表現し、
官能的な美を情感豊かに描いている。
画家の思い入れが深い分、観る側も絵のイメージが湧き、
もっとも愉しめるジャンルになっている。

Approaching Dawn (1927)

On my Bed by Night (1925)

The Bird in the Bush (1928)

The Dancer (1925)

Leda loved (1929)

Eve (1926)

Famale Nude (1937)

Famale Nude,Standing (1937)





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