2015年11月7日土曜日

創られた熱情と没入する魂 アッテルベリのピアノ協奏曲

スウェーデンの作曲家、アッテルベリの作品を8年ほど聴いている。
交響曲1番と2番が好きだ。
自分の葬儀には、2番の第1楽章をかけてほしいと願っていた。
(さすがに長いので、今はスクリャービンのピアノ曲、「ワルツ 作品38」がいい。)

アッテルベリ交響曲1番&2番

上記のふたつの交響曲よりも、頻度高く聴いているのは、彼の唯一のピアノ協奏曲だ。

第1楽章は、大仰で憂愁な旋律で始まる。
それは、運命的な悲劇を感じさせ、また熱に浮かされたような音楽である。

第2楽章は、弦のかすかな伴奏に合わせて、
ピアノが孤独にさすらうようなメロディーを奏でる。
そして、抒情的なオーケストレーションが盛り上がり、
徐々に静まり、いったん孤独のなかに浸る。
また、高鳴りをみせ、劇的な転調と共に、ピアノとトランペットが輝かしく歌う。
この曲の見せ場のひとつである。
その後も、遥か天上のまぼろしのように、ピアノとオーケストラとが
しばらくの間、語り合う。

突如、ピアノの天上から雪崩れ落ちる音が鳴り響き、
怒涛のように畳みかける、壮麗な第3楽章が始まる。
途中には、1楽章の悲劇的な憂愁や、2楽章の夢幻の響きが再現されるが、
明確な意思をもって怒涛の波が押し寄せ、華麗に天空に昇って、曲を締めくくる。

この曲には、意図的に創られた熱情と、そこに敢えて没入する魂がある。
そのような時期を象徴する曲として、忘れ難い。

アッテルベリ ピアノ協奏曲

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