仕事で20人の部下をもち、自らもプロジェクトをこなす毎日。
気がつけば、仕事に関係する本しか読んでいない。
そして、心が乾いていることに、危機感を抱いた。
新聞の書評などを頼りに、久々に小説を買った。
ただ、読書の充実感は、まだ取り戻せなかったように思う。
そんなとき、やはり書評に載ったのが、「幻想文学1500ブックガイド」。
“幻想文学”とはどのようなジャンルを指すのか、あまり意識せずに買ってみた。
そして、理解した。
なんと、“幻想文学”とは、子供のころに読んでいた
幽霊、妖怪、妖精、異世界などにまつわる、怪奇と不思議の物語であると。
小学生のころ、「世界の名作怪奇館」(講談社)や「世界怪奇スリラー全集」(秋田書店)を
図書館で借りて、何度も読んだ。
また、小学4年で、平井呈一訳の「怪談」を文庫で読んだ。
もちろん、不思議な物語だけを読んでいたのではない。
物語をたくさん読んだし、ルブラン、コナン・ドイル、ウェルヌ、江戸川乱歩、海野十三など、
探偵小説やSF小説も読んでいた。
中学時代に、欧米の推理小説に夢中になり、高校では日欧の古典的な小説に挑み、
大学では、村上春樹などの旬の作家と、演劇や美術に関連した本を主に読んでいた。
そして、30代なかばで“幻想文学”に久々に触れたとき、二十数年のときを飛び越えて、
再び血が騒いだ。
「幻想文学1500ブックガイド」を参照して、面白そうな本を探してみた。
驚いたのは、紹介されているかなりの本が、絶版になっていたこと。
そこで、ネット古書店やネットオークションで、コツコツと本を買いためていった。
もう一冊、単なるガイドを超えた貴重な本は、「世界幻想作家事典」だ。
荒俣宏の労作、力作だ。本の刊行時、彼は30歳を超えたところ。
その齢で、よくもこれだけの作家情報を網羅したものだと驚嘆する。
この本は、福井駅前の古書店で偶然手に取るまで、その存在は知らず、
凄い獲物を得たと喜びながら、出張から帰った覚えがある。
幻想文学の水先案内となる、貴重な2冊 |
以降は、幻想文学を中心に蔵書が形作られることになった。
また、幻想文学のガイド本も、次第に増えていった。
ふりかえれば、これらのガイド本によって、素敵な本を得て、芳醇な世界に遊べた。
今は、仕事や日常生活に追われ、本を読む時間そのものが取れない。
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