予備知識はなかったが、レンタルビデオ屋で手に取り、この映画を観た。
とても心に残り、ほどなくDVDを購入した。
ある人が観れば、荒唐無稽なストーリーである。
だが、この世界に浸れる人は、幸せと切なさを感じられる。
原作は、リチャード・マシスン。
ただ、この映画では、ジャック・フィニを強く意識している。
原作にはない、“フィニ博士”という人物が登場し、
主人公に時間移動の方法を指南するほどだ。
ジャック・フィニは、現在と過去を行き来する小説を
ノスタルジーと愛をテーマに、繰り返し書いた作家だ。
彼には「愛の手紙」という大好きな短編があり、
僕はこの映画を観るたびに、その短編の、はっとする切なさを思い出す。
この映画のジェーン・シーモアは、とても魅力的だ。
上品な色香も、芯の強さも、茶目っ気も。
主人公のクリストファー・リーブは、役柄からいえば少々巨漢に過ぎるが
それを補うみずみずしい若さと直情さがある。
原作のニヒルさは微塵も感じさせず、好青年そのものだ。
そして、なんと言っても、最高に素晴らしいのは、ジョン・バリーの音楽だ。
何度聴いても、心が震える。
ラフマニノフのラプソディも印象的に使っているが、
劇的な場面はすべて、彼の作曲したメインテーマが流れる。
この映画でいえば、音楽はすべてに勝る。
*****
主な登場人物を挙げる。
Dr.GERALD FINNEY:GEORGE VOSKOVEC |
「第三の男」(1949年)では、主人公を追い詰める脂ぎった悪党役だった。
それから30年。時折見せる不敵な表情は変わらない。
LAURA ROBERTS:TERESA WRIGHT |
脇役だが、往年の演技派女優。さすがに印象に残る配役だ。
W.F.ROBINSON:CHRISTOPHER PLUMMER |
実年齢はようやく50歳に達したところなのに、意地悪な爺さん役。
端正な顔立ちのせいで、厳しさだけが印象に残ることになってしまった。
ただ、現在に至るまでコンスタントに活躍を続ける素晴らしい役者に、乾杯!
ELISE McKENNA:JANE SEYMOUR |
見事に演じた、ジェーン・シーモア。
他の映画やテレビドラマは観ていないが、
この映画が彼女の魅力の頂点ではないかと、決め込んでいる。
RICHARD COLLIER:CHRISTOPHER REEVE |
思うからかもしれない。彼は、それからも勇気をもって生き、
今の僕と同じ年齢で亡くなった。
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