幼いころからずっと、菩薩面が家のなかに掛かっていた。
ふくよかな、穏やかな顔で、笑みをたたえている。
見る人を安らかな気持ちにさせる表情だ。
入手したいきさつを母から聞いたことはあるが、忘れてしまった。
ただ、この面が好きだったので、実家から譲り受けて、
今に至るまで、壁に掛けている。
天井に近いところに掛けているため、
立って見ても、やや下から見上げる格好になる。
正面からの角度よりも、しもぶくれで
すました表情から和らいだ表情に変わる。
椅子に座って見上げると、はっきりと微笑んでいるように見える。
撮影した画像を見るとそれほどでもないが、肉眼で菩薩を見ると
表情が明らかに異なる。
唇の端があがり、目は閉じながらもこちらを心眼で見ているようだ。
幼いころから、常に見守ってもらっている。
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