2015年4月19日日曜日

生涯ベストワンの映画 「赤い靴」(1)

「赤い靴」を初めて観たのは、高校生のとき。
地方局のテレビ放映をなんとか受信し、
雨降りの画面のもとで、しかも途中から観た。
それでも印象に残り、「ベン・ハー」、「第三の男」、「ミラノの奇跡」など、
映画館で観た映画に伍して、自分の映画ベストテンに名を連ねた。

その後、おそらく何十回と、この映画を観た。
いまや、生涯ベストワンの映画だ。

「赤い靴」の何がよいのか。

まず、音楽が素晴らしい。すべての音楽に意味があり、印象的である。
それから、映像が美しい。鮮やかな色彩と見事な構図に、ハッとさせられる。
そして、モイラ・シアラーの優雅で軽やかな踊りと演技が、すこぶる魅力的である。
また、バレエの魅力も堪能できる。加えて、それぞれの人物造形がうまい。
さらに、映画の舞台に気品があり、洗練され、かつ夢のような幻想味も混じる。
つまり、映画の愉しさを存分に味わえるのだ。

制作されたのは、第二次大戦後まもない1948年。
こんな素晴らしい才能を集めて映画が創られたことに、身震いがする。
日本で公開されたとき、観客はどんなに驚き、また、この夢の世界にどんなに痺れただろう。
当時、日本ではこの映画を観て、女はバレリーナを目指し、男はプロデューサーを志願したという。




(つづく)

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