2015年6月20日土曜日

劇的な指揮ぶりの背景(アンソニー・コリンズ指揮:シベリウス交響曲第2番)

高校生になった頃、自宅にあった父のクラシック音楽のレコードを
片っぱしから聴いた。

カラヤンの運命と未完成。チャイコフスキーは、
小澤征爾の4番、ジョージ・セルの5番、ジャン・マルティノンの6番。
リパッティのグリーグ・シューマンPコン、ハイフェッツのメンデルスゾーンVコン。
そして、ギーゼキングとモラヴェッツのドビュッシー・・。

あの頃聞いた曲は、ジャケットの図柄と共に、今も鮮やかに思い浮かぶ。

それらのなかで最初に、思い入れ深く好きになり、
いまだに胸のうちに旋律が鳴り響くのは、シベリウスの交響曲第2番だ。
指揮は、アンソニー・コリンズ。演奏は、ロンドンフィルハーモニーオーケストラ。

シベリウス交響曲第2番(アンソニー・コリンズ指揮)

クラシック音楽は、演奏者によって曲の印象がかなり異なる。
最も異なって聴こえるのは曲のテンポであり、
また、音の大小や音の滑らかさ・硬さ、音の多さ・少なさだったりする。

そして、最初に聴いた演奏者の曲は、その後の基準となり、重要だ。

コリンズ指揮の盤以降、他の指揮者のシベリウスも聴いたが、
やはり最初の感動に及ばなかった。
彼の指揮は、曲の緊張感や盛り上げ方が素晴らしい。流麗で豪放な演奏だ。

第1楽章は、本当に雄大だ。孤高のなかにも、余裕やユーモアさえ感じられる。
第2楽章は重苦しい曲調のなかに、生命の厳しさ、力強さや、緊張が劇的に高まって好きだ。
第3楽章は、急と緩、激しさと大らかな安らぎが交互に繰り返され、最終楽章へなだれ込む。
フィナーレの第4楽章は、堂々たる讃歌だ。胸が高鳴る。
緊張感をはらみながら、いったんはテンポを落とし、再び壮大に盛り上がる。
そして、悲劇的なうねりを繰り返しながら、最後は力強くクライマックスを迎える。

アンソニー・コリンズは、映画音楽の作曲家でもあった。
思えば、彼のドラマティックな指揮ぶりは、そのことが背景にあるのかもしれない。

今から20年ほど前に、コリンズ指揮のシベリウス1番と2番が入ったCDを見つけ、
学生時代以来、久しぶりにその演奏を堪能した。
それからまた十数年。シベリウス没後50年記念(2007年)として、
コリンズのシベリウス交響曲全集を見つけ、勇んで買った。嬉しい買い物だった。

アンソニー・コリンズ指揮シベリウス交響曲のCD


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