片っぱしから聴いた。
カラヤンの運命と未完成。チャイコフスキーは、
小澤征爾の4番、ジョージ・セルの5番、ジャン・マルティノンの6番。
リパッティのグリーグ・シューマンPコン、ハイフェッツのメンデルスゾーンVコン。
そして、ギーゼキングとモラヴェッツのドビュッシー・・。
あの頃聞いた曲は、ジャケットの図柄と共に、今も鮮やかに思い浮かぶ。
それらのなかで最初に、思い入れ深く好きになり、
いまだに胸のうちに旋律が鳴り響くのは、シベリウスの交響曲第2番だ。
指揮は、アンソニー・コリンズ。演奏は、ロンドンフィルハーモニーオーケストラ。
シベリウス交響曲第2番(アンソニー・コリンズ指揮) |
クラシック音楽は、演奏者によって曲の印象がかなり異なる。
最も異なって聴こえるのは曲のテンポであり、
また、音の大小や音の滑らかさ・硬さ、音の多さ・少なさだったりする。
そして、最初に聴いた演奏者の曲は、その後の基準となり、重要だ。
コリンズ指揮の盤以降、他の指揮者のシベリウスも聴いたが、
やはり最初の感動に及ばなかった。
彼の指揮は、曲の緊張感や盛り上げ方が素晴らしい。流麗で豪放な演奏だ。
第1楽章は、本当に雄大だ。孤高のなかにも、余裕やユーモアさえ感じられる。
第2楽章は重苦しい曲調のなかに、生命の厳しさ、力強さや、緊張が劇的に高まって好きだ。
第3楽章は、急と緩、激しさと大らかな安らぎが交互に繰り返され、最終楽章へなだれ込む。
フィナーレの第4楽章は、堂々たる讃歌だ。胸が高鳴る。
緊張感をはらみながら、いったんはテンポを落とし、再び壮大に盛り上がる。
そして、悲劇的なうねりを繰り返しながら、最後は力強くクライマックスを迎える。
アンソニー・コリンズは、映画音楽の作曲家でもあった。
思えば、彼のドラマティックな指揮ぶりは、そのことが背景にあるのかもしれない。
今から20年ほど前に、コリンズ指揮のシベリウス1番と2番が入ったCDを見つけ、
学生時代以来、久しぶりにその演奏を堪能した。
それからまた十数年。シベリウス没後50年記念(2007年)として、
コリンズのシベリウス交響曲全集を見つけ、勇んで買った。嬉しい買い物だった。
アンソニー・コリンズ指揮シベリウス交響曲のCD |
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