夏の真昼。
瓜の茎と大きな葉が前面に配され、
後方には電柱がおぼろに見える。
満ちあふれる光のなかで、
湧きあがる雲がうっすらと描かれる。
幼いころの夢の一瞬を切り取ったような
もうろうとした懐かしい景色。
「炎昼」 |
画家は、牛島憲之。
古書の図録を注文し、雨のなか、
郊外の古書店まで受け取りに行った。
行った甲斐があった。
ほとんどが、静かさを感じる風景画。
淡い色調だが、さまざまな色が混じり合って
深みをたたえている。
特徴的なのは、空や地面を広く配していることと、
奇妙な曲線が描かれていること。
開放的で独特な雰囲気が生まれている。
題材は、工場、ガスタンク、団地などの現代的な建造物も多いが、
それぞれが重厚な存在感がある。
「聖堂」 |
広々とした公園。休日なのだろう。
木陰に憩うひと。散歩を楽しむひと。
背の高い街灯。穏やかで懐かしい。
文字どおり“一幅の絵”のような景色だ。
牛島憲之の図録は、いま2冊。
時折、本棚から取り出しては観入り、
静かな景色を愉しんでいる。
「晴日」 |
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