2015年2月1日日曜日

幸せないまを惜しむ 「海底二万海里」

ある本を夢中で読んだことが、かつて何度かあった。
そのなかで、懐かしい記憶として挙げたいのは、
ジュール・ベルヌ著「海底二万海里」を読んだことだ。

「海底二万海里」(福音館書店)


中学1年の晩秋、毎晩11時から眠るまでの1時間、
寝床で読んでいた。部屋を暗くして、学習机の明かりで読む。
小説の世界に、本当に没入した。

ネモ。「だれでもない」というラテン語。
情熱的で冷静、冷酷な、孤高の艦長。
主役として、真に魅力的だ。

そして、海で繰り広げられる、数々の名場面。
生物の分類に、属、科、目などの言葉が飛び交う、衒学的な雰囲気。
そして、すばらしいエッチングの挿絵。

この本を読みながら、幸せな気分を感じていた。
いつまでもこの本を読んでいたい、終わらないでほしいと思った。
本を読んでいるときにそう思うことが、あとにも何度かあったが、
その最初の経験だった。

今でもこの本を見ると、あのころの記憶が鮮明によみがえる。

毎日が楽しかった。
ときが止まってほしい、と日記に書いた。
時間が早く過ぎるのを最初に感じたのも、あの12歳のときだった。

ネモ艦長

海底の墓地

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