おかしな絵があると思った。
こってりした色彩。
若者ばかりか老人までもが筋骨隆々で、表情は大袈裟。
思い出せば、たしか「ネブカドネザル」と、
「アダムとイブが見つけたアベルの亡骸」だったと思う。
当時は、「モルトフォンテーヌの思い出」など、
バルビゾン派の風景画が好きだったので、
こんな絵のどこがいいのかという思いだった。
ところが、印象が強烈だったせいで、
そのとき覚えたウィリアム・ブレイクの絵を
その後もたびたび観る機会を得た。
そして、その壮烈なイマジネーションに惹かれていった。
「ヨーロッパ;日の老いたる者」 |
本のデザイナーとしても面白い。
レタリングと版画による挿絵を組み合わせて
自在に力強く、ページを造り上げている。
ブレイクの絵が好きな理由は、その独特の緊張感だ。
静謐な天使の絵であっても、その両の羽は祈りの手に見え、
キリストを見守り、斜めに宙にとどまる姿は三位一体となり、
中央から光を放つ三角形には、張り詰めたものを感じる。
「天使たちに守られる墓の中のキリスト」 |
あまり読みもしないのに、ブレイクの本がたまっている。
初期の詩だけでなく、生涯にわたる作品を
それぞれの時代背景とともに読み解きたい。
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