モダンな感覚、感性。モダンな音楽。モダンな絵画・・。
それは、上品で洒落たイメージ。文明と進歩を素直に信じる力強さを想う。
ジオ・ポンティ著「建築を愛しなさい」は、そんなモダンな感覚が一杯に感じられ、
そして、僕の好きな建築について書かれた本だ。
ジオ・ポンティ著 「建築を愛しなさい」 |
表紙をめくると、次の言葉に嬉しくなる。
“この本は建築家のための本ではなく
古今の建築に魅せられた人びとのための本です”
内容は、哲学であったり、思想そのものであったり、箴言であったり、随想であったり。
建築の形や素材や機能などを語るが、技術的なことには触れず、わかりやすい。
断定はするが、もの言いは柔らかい。
この本を通して読んだことはない。ただ、よく手に取り、ぱらぱらめくる。
どこを読んでも、モダンな香りがする文章。
そして、建築に対する愛情が溢れている。
僕は、建築に惹かれる。
それは、大学の演劇サークルで、“装置”(大道具)のスタッフだったことが理由のひとつだ。
舞台美術は、材質や照明にこだわり、独特の空間を創る。鉄パイプで構造体も組む。
役者のいる空間、空気感や雰囲気を形造ることから派生して、建築に興味をもった。
30代までは、建築に関する本や写真集をたまに買っていた。
そして、“モダン”な近代建築は、鉄骨、コンクリートで組まれる。
それらに、冷たさではなく親近感がもてるのは、
僕が産まれてすぐに住んだ家が大きな団地だったことが理由だと思う。
そこに、ふと懐かしい感覚が同居する。
「建築を愛しなさい」の著者、ジオ・ポンティ。
ベテランの建築家やデザイナーならともかく、一般には話題にものぼらないと思っていた。
そうしたら昨年、「ジオ・ポンティの世界」展が、近隣の地方都市で開催されたではないか!
休日でも、ほかに1人しか客がいない、その小さな展示会を満喫した。
パンフレットには、「イタリア モダンデザインの父」とあった。
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