2015年5月24日日曜日

好きな作品を手元に(二見彰一)

二年前の師走に、「八木重吉全詩集」(ちくま文庫;全2巻)を買った。
そして、それらの本の表紙絵に惹きつけられた。

暗い空間に、格子模様の床がみえ、
そこに青白いホルンが、文字どおり浮かんでいる。
手前には、緑がかった透明なグラスと球体があり、
背景の闇には、手前の球体が空に昇ったような、
薄緑の月が浮いている。

そこにあるものはみな、闇のなかで燐光を放っている。
静かで幻想的な景色。それでいて、手前のグラスは、
その景色を観ている人物を暗示している。
いや、その人物は、絵を観ている自分であるかもしれない。

「デニスの部屋」

画家は、二見彰一。技法にアクアチントを使用していることを知った。
さっそく画集を探し、1987年刊のソフトカバー本を古書店で購入した。
およそ100ページの図録のうち、カラーページは6分の1程度だが、
それでもカラーの絵からは、それぞれの作品の魅力が伝わってくる。

画集から;「花のグリサンド(1)」と「浮かぶ花(1)」
「青のトリオ」

どの絵にも共通しているのは、孤独な詩情と思索的な深み。
そのうえで、あるものはリズムが、あるものは軽いユーモアが感じられる。
童心に帰るような絵もあれば、モダンでしゃれた感覚の絵もある。

画集を眺めているうちに、自分の誕生月に、
これらの作品のうち1枚を手に入れたい、と思った。

それまで、書斎には2枚の版画を飾っていた。
エッチングに手彩色の風景画と、メゾチントの女性像。
同じ版画でも、今回はまた、風合いが異なる。

まったく幸運なことに、二見彰一展がちょうど開催されていた。
地元ではないが、休日に行けない距離ではない。
ドライブがてら高速を走り、近くで開かれていたシャガール展と併せて観た。

初期から最近の作品までが多く展示され、どれも素敵だった。
日曜日で人出もあり、会場では突然のハープ演奏も行われた。
そして、画家ご本人も来場していたのには驚いた。

帰宅後、選んでおいた絵を思いきって購入した。
そして、銀色の細身の木枠に、白いマットを二段にした額装を施した。

そのときに買える作品のなかで、最も欲しい絵だったが、
そればかりでなく、二見作品のなかでも最も好きな絵が買えた。
本当に幸運だった。
「青い夜」




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